円満に社員を解雇するには
社員がセクハラを行なっている、学歴・経歴を詐称していた、仕事で頻繁にミスをする、無断欠勤や遅刻が目に余る、不倫やいじめ等により職場環境を乱すなどの理由により経営者が社員を解雇したくなってしまうことはどの企業でもあることです。
しかし、だからと言って安易に社員を解雇してしまうと不当解雇であるとして多額の損害賠償請求等をされてしまい会社にとって不利益が生じてしまいます。基本的に我が国の労働関連法令は雇用主と労働者が雇う・雇われるという関係にあることから両者の立場の差を実質的に平等にするため、労働者の保護を重視する構造になっています。例えば労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする。」と規定されています。
無効な解雇と言われないために雇用主は適切な解雇を慎重に行う必要があり、これが円満解雇への方策となります。
まず、解雇をする前に行なっておくべき方法は退職勧奨です。これは経営者が問題の社員に対して退職してほしい理由を伝え、これに対して社員が同意した場合に両者の合意に基づいて雇用契約を終了させるという方法です。
しかし、退職勧奨を行なっていると会社側が思っている場合でも、実際には社員に退職を強要するような言動によって退社に追い込む(これを「退職強制」と言います)場合に当たり、退職強制に当たると会社に慰謝料請求がされてしまうこともあるため注意が必要です。この場合会社が支払う慰謝料の額は数十万から数千万になる場合もありますので退職勧奨の方法には慎重を期すことをお勧めします。
退職勧奨しても社員が辞めない場合には会社としては解雇をせざるを得ません。
解雇には整理解雇、懲戒解雇、普通解雇の三種類があります。整理解雇は会社の人件費削減のために行う人員削減をする際に行われます。整理解雇にあたると会社側が主張する場合には
①人員削減の必要性が存在すること
②解雇回避努力をしたこと
③解雇対象者の人選が適切に行われたこと
④手続きの妥当性
が必要です。
これらが認められる場合には整理解雇として解雇が正当であると判断されます。ですので、不当解雇と言われなおためにこのような四要素を説明できるようにする必要があります。
懲戒解雇とは、社員が悪質な行為を行なっている場合や規定違反行為を行なっている場合に懲戒処分として行う解雇を言います。懲戒解雇を不当解雇と主張されないようにする対策としては就業規則等にいかなる行為が懲戒解雇に該当するのかということを明示しておくことが必要です。
最後に懲戒解雇にも整理解雇にも該当しない場合に普通解雇がされます。普通解雇をする場合には解雇理由が正当である必要があります。例えば就業規則で普通解雇をする場合について規定を設けており、これに該当するという場合があります。
また、勤務態度に問題がある場合などは何度か口頭で注意し、それでも直らない場合は始末書を書かせます。始末書を書いても改善が見られないような場合には懲戒処分通知書を渡し、これに改善が見られない場合には解雇される可能性があることを示します。この後もさらに改善が見られない場合には解雇することが可能となります。
このような手順を取ることで正当な理由が認められやすくなります。
しかし、このような場合でも不当解雇と主張され損害賠償請求されてしまう場合もあります。ですので、賠償請求されるとすればどのくらい会社に損害が生じてしまうのか等について専門家である弁護士に解雇前に事前に相談し、助言を得ておくことで解雇後の紛争を防止に役立てられます。
一般社団法人士業の絆ではこのような解雇に関する相談も承っておりますので、お困りの方は是非当事務所までご相談ください。
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Tel | 0120-301-515 |
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設立 | 2020年4月13日 |